建築物データベース

山形の建築作品一覧

名称 南陽市文化会館
概要

■基本設計コンセント
(1)芸術文化の交流施設 (2)先導的な木造施設 (3)多機能型ホール (4)市民が中心の施設 (5)地元資源活用の施設整備 (6)防災拠点施設

■事業概要
 南陽市では、近年の公共建築物木材利用促進法の施工及び大型化を可能とする木造軸組み技術、耐火木造の技術の開発等の全国的な流れを一早く捉え、林野庁の補助を受け、先駆的モデル事業として日本初の大型耐火木造のホール建設に着手しました。事業では、木材調達、木材加工、工事施工を分離発注し、地産地消に取り組みました。短期間の工期も、設計、施工側の様々な工夫により24か月で完成することができました。開館後は、静けさと響きのよい木の音楽空間として積極的に事業を取り入れ、多様な文化の交流を促す市民のための文化芸術の創造拠点として、市民に親愛される施設にしてまいります。

名称 山形県立東桜学館中学校・高等学校
概要

■設計趣旨
 山形県初の併設型中高一貫校が東根市に建設されました。商業・業務施設の集積著しい東根市中央地区の一画に敷地があります。敷地東側にグラウンドを配し、コの字型の平面計画となる2棟の校舎棟と体育館棟が西側の商業街区に面しています。そこにプロムナード・中庭・駐車場などのオープンスペースを介在させ、周辺への視覚的圧迫感を軽減できるようにしました。外装の一部には木製ルーバーを施し、自然の風合いを併せ持つ落ち着きと品格ある外観です。内部では明快な動線の設定を重視し、中・高6学年の教室群と特別教室群・管理系諸室群などのクラスターが多層的に重なり、内装には県産木材を多用し、ぬくもりある落ち着いた学習環境づくりの実現を図っています。さらに教室棟と体育館棟をつなぐ交流スペースでは中・高の生徒が交わり、活気と賑わい溢れる場になることが期待されます。

名称 荘銀タクト鶴岡(鶴岡市文化会館)
概要

■設計趣旨
 地域の文化芸術活動拠点となる多目的ホールである。敷地は、豊かな自然に囲われ、歴史的な文化財や大学、ギャラリーが点在する市の文化エリアの中にある。学生や地域の芸術団体の方々に日常的に親しまれてきた旧文化会館を継承しつつ、その活動の幅をより広げるための機能の拡充などが求められた。
 市民の方々が鑑賞者となり演者にもなる“地域のためのホール”として、大ホールを回廊空間で包む鞘堂形式を採用した。回廊は日常的に市民の方々に開放され、裏表なく色々な場所で活動することができ、特別な公演の際には舞台上下のパーティションによってバックヤードをつくることも可能としている。
 中央の大ホールは、ホール全体に生音が細かく全体に響き渡るワインヤード型とし、どの客席からも直接舞台に降りてくることができる空間構成としている。さらに、ホールの奥行を可能な限り抑えることで、客席と演者が一体感のあるホールを目指している。
 建物の外観は、いくつかの小屋根群が集まる形として、建物の大きさを分節している。また、それぞれの小屋根は外周に向かって低くなってゆき、道路沿いにおいては1階建てくらいの低さまで高さを抑えている。このように外観の意匠をコントロールすることで、周辺の街並みとの調和を目指している。
 板金の風合い、コンクリートの左官仕上げ、表情豊かな木ルーバーの自然さなど、人の手がつくり上げた、人の温もりが感じられるこの新しいホールは、自然環境と対話するように、時間や光の加減などの状況によりその表情を変化させていく。地域の方々が末長く文化を紡いでいくように、建物も周辺の風景と調和していき、地域の方々の文化芸術活動で賑わう鶴岡市の新しい風景となればと思っている。

名称 旅籠町にぎわい拠点「gu/ra」(グラ)
概要

■事業概要
 この施設は、2001年に山形市に寄贈された、御典医の流れを汲む代々医師の家系、木村家の住居と診療所「旧木村邸」を「市民の集う賑わい拠点」として整備・開発した文化複合施設です。整備にあたっては、旧木村邸の土蔵と祠、そして庭木を再生利用しました。
 石蔵は、旧半田商店(市内駅西)が飼料倉庫として使用していた、今は採掘されていない中川石(南陽市)で造られた歴史的建造物を、現代の建築技術により蘇らせ、山形の遺産となる後世に残る建築物です。また、土蔵は補強改修にメンテナンスを加えて、現代風にアレンジしました。敷地の半分以上を占める「開かれた広場」は、重厚な中川石と緑溢れる自由広場を整備、市民が自由に集い立ち寄れる「まちなかの居場所」です。

●事業主体:山形建設(株)(事業企画・設計・建設)
●運営主体:(株)旅篭町開発(山形建設(株)、山形パナソニック(株)共同出資)
●事業内容:レストラン、クラフトストア、ラウンジホール、広場の運営

名称 旧長井小学校第一校舎
概要

■設計趣旨
地域の人々の「記憶」と「アイデンティティー」を継承する平成の大改修
 旧長井小学校第一校舎は昭和8年に建設された木造校舎で、国の登録有形文化財に登録されています。平成27年に耐震性能不足により使用禁止となり、小学校としての役目を終えましたが、82年間にわたり多くの卒業生を送り出してきました。
 長井市は、市民から愛されているこの建物を存続させることを決定し、第一校舎は学校施設から学びをテーマとした地域の交流施設として生まれ変わることとなりました。

未来へ継なぐ地域の力
 私たちは「建物が地域のために利活用できること」「安全・安心で、快適な建物とすること」「人々の記憶やアイデンティティーを継承すること」をテーマとして設計に取り組みました。免震レトロフィットの採用や防耐火設計など、私たちの持つ建築技術を駆使して建物の必要性能を確保するとともに、文化財としての意匠、また地域の人々に愛されている校舎の姿をできる限り保ち、老朽化改修や断熱改修を施す計画としました。
 工事施工にあたっては、地域のランドマークである本建物は、地域の職人の手によって次世代へ継なぐべきと考え、設計段階から地域の職人の力を活かす改修計画を立案し、地元のゼネコンや大工、曳家業者などの地域の力を結集し、耐震診断から5年を超える歳月を経て建物完成を迎えました。