建築物データベース

山形の建築作品一覧

名称 旅籠町にぎわい拠点「gu/ra」(グラ)
概要

■事業概要
 この施設は、2001年に山形市に寄贈された、御典医の流れを汲む代々医師の家系、木村家の住居と診療所「旧木村邸」を「市民の集う賑わい拠点」として整備・開発した文化複合施設です。整備にあたっては、旧木村邸の土蔵と祠、そして庭木を再生利用しました。
 石蔵は、旧半田商店(市内駅西)が飼料倉庫として使用していた、今は採掘されていない中川石(南陽市)で造られた歴史的建造物を、現代の建築技術により蘇らせ、山形の遺産となる後世に残る建築物です。また、土蔵は補強改修にメンテナンスを加えて、現代風にアレンジしました。敷地の半分以上を占める「開かれた広場」は、重厚な中川石と緑溢れる自由広場を整備、市民が自由に集い立ち寄れる「まちなかの居場所」です。

●事業主体:山形建設(株)(事業企画・設計・建設)
●運営主体:(株)旅篭町開発(山形建設(株)、山形パナソニック(株)共同出資)
●事業内容:レストラン、クラフトストア、ラウンジホール、広場の運営

名称 旧長井小学校第一校舎
概要

■設計趣旨
地域の人々の「記憶」と「アイデンティティー」を継承する平成の大改修
 旧長井小学校第一校舎は昭和8年に建設された木造校舎で、国の登録有形文化財に登録されています。平成27年に耐震性能不足により使用禁止となり、小学校としての役目を終えましたが、82年間にわたり多くの卒業生を送り出してきました。
 長井市は、市民から愛されているこの建物を存続させることを決定し、第一校舎は学校施設から学びをテーマとした地域の交流施設として生まれ変わることとなりました。

未来へ継なぐ地域の力
 私たちは「建物が地域のために利活用できること」「安全・安心で、快適な建物とすること」「人々の記憶やアイデンティティーを継承すること」をテーマとして設計に取り組みました。免震レトロフィットの採用や防耐火設計など、私たちの持つ建築技術を駆使して建物の必要性能を確保するとともに、文化財としての意匠、また地域の人々に愛されている校舎の姿をできる限り保ち、老朽化改修や断熱改修を施す計画としました。
 工事施工にあたっては、地域のランドマークである本建物は、地域の職人の手によって次世代へ継なぐべきと考え、設計段階から地域の職人の力を活かす改修計画を立案し、地元のゼネコンや大工、曳家業者などの地域の力を結集し、耐震診断から5年を超える歳月を経て建物完成を迎えました。

名称 最上町 封人の家
概要

昭和44年12月重要文化財指定(旧有路家住宅)
 この建物は山形県東北部に見られた広間型民家の代表的なものです。
 建物の様式や技法には元禄をくだらない古さが見られ、300年以上の歴史を経ていると推定されます。
 建物の特色は、いわゆる役屋(村役場)としての性格をもち、さらに問屋や旅館の機能もそなえた国境の庄屋屋敷にふさわしい備えの住宅といえることです。
 昭和46年6月から同48年3月まで、文化庁並びに関係機関の指導監督のもとに解体復元工事を行い、建築当初の姿に復元したものです。

名称 村山市 五十沢かやぶきの里
概要

 村山市五十沢地区の集落に今も約8割の世帯が、茅(かや)葺きの家屋で生活し建物を維持している。こうした民家や集落、里山を維持してきた住民の生活や生業の継承である。
 明治村や民家園のような形態だけの保存では民家や集落が持っている本当の魅力は失われてしまう。そこで生活し、農地を耕す人がいて初めてその魅力が生きる。

名称 甑葉プラザ
概要

 平成18年に行われた設計者選定のための公募型プロポーザルのテーマは「交流と学習による賑わいの創造」でした。これに応えるため、設計では図書館と平土間の多目的ホールを主とする複合的な機能をもった諸室を、建物中央の「祝祭広場」を取り囲むように配置し、2階にはそれらを繋ぐ回遊路を設け、ここを訪れる人の視線が交差し、日常的な賑わいを生み出す場所を多く計画しました。夏祭りや四季折々のイベントがこの広場を中心に繰り広げられ、非日常的な賑わいが華を添えます。
 建築上は雪国の地域性を考慮し、融雪対策や雪除けのための軒空間を多く設けるなどの計画を行いました。また曇天の長い冬の中にある図書館のインテリアとして、ガラスクロスの光天井を発案し、開放的で明るい意匠を心がけました。(高宮眞介)